もう1匹の「アストロ犬」-名犬コロと「羽根田・カンポス彗星」

日付が変わる時分、どうにも寝つけなかったのでスマホでウィキペディア日本語版を彷徨っておりました。たまたま[[周期彗星の一覧]]にたどり着いたので、そこをベースとしていろいろな彗星巡りを始めました。

周期彗星だけで350個近くある上に、日本語版の記事がないものもかなりあったのでさすがに読み切れないと思って「特筆すべき番号なし短周期彗星」の節を覗いてみることにしました。その中でなぜか目を惹いたのはD/1978 R1(羽根田・カンポス彗星)、1978年に1度だけ観測されたのちに見失われて今に至るも行方不明の彗星です。

この彗星は、福島県原町市(現在の南相馬市)に住んでいたアマチュア天文家、羽根田利夫さんが発見したものです。発見日である1978年9月1日の夜はあいにくの悪天候で、羽根田さんは天体観測を断念していました。ところが、愛犬のコロはいつもどおりに観測小屋に行こうとせがみ、羽根田さんはやむなくコロを連れて観測に出かけました。

羽根田さんがその日唯一晴れていた南天のやぎ座付近を観測していると、9等級の彗星状天体を見つけました。この新彗星は、羽根田さんとは別に南アフリカのカンポスさんも発見していたので、「羽根田・カンポス彗星」と命名されました。

羽根田さんを世界的な発見へと導いたコロちゃんは、1980年6月に遥かな星空へ旅立ちました。羽根田さんはコロちゃんを悼んで、彼女(ポインター系のメスでした)の墓碑に彗星発見の経緯を刻みました。

羽根田さんはコメットハンターとして多くの人から尊敬される存在になりました。コロちゃんのことを忘れなかった羽根田さんは、コロちゃんと彗星のエピソードを幻灯と紙芝居で表現した物語を作りあげて、訪れる人々や子供たちによく見せていたとのことです。

羽根田さんは1992年に、遥かな星空の住人となりました(きっとコロちゃんと再会していることでしょう)。その後の羽根田・カンポス彗星については、世界的に有名な関勉さんがちょっと不思議なエピソードを披露しています。

関さんのある夜の夢に、犬を連れた老人が現れて「関さん、彗星を見つけてください」と懇願してきました。その老人と犬が、はたして羽根田さんとコロちゃんだったかは関さん自身でもわからないそうです。でも、今後の捜索で羽根田・カンポス彗星をもし見つけるようなことがあったら、その写真を羽根田さんの霊前に捧げたいと関さんは書いています。

ちなみに「アストロ犬」としては白河天文観測所の「犬の天文台長」チロちゃんが有名です。チロちゃんもコロちゃんも福島の犬ですね。

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