東京バレエ団「M」(2005年10月30日、五反田ゆうぽうと)

東京バレエ団「M」(2005年10月30日、五反田ゆうぽうと)

ベジャール振り付け「M」は、以前の再演を生で鑑賞しております。
「M」は三島由紀夫のイニシャルであり、同時にフランス語の「海」「死」「変容」などの頭文字。このバレエは三島の伝記でも批評でもありません。彼の作品を思わせる断片的シーンの積み重ねによって、様々なイメージを喚起させます。(禁色、午後の曳航、金閣寺、鹿鳴館、憂国など)

再演で妙に覚えているのは、ラスト近くの「楯の会」と桜吹雪の中で少年(三島の少年時代を表すが、同時に全編に渡って活躍する)が自決するシーン、それに舞台上の黒板に少しずつ書かれて完成していく「死」の文字。
そして、首藤さん踊る「聖セバスチャン」の存在感と色気、「M」(三島)の分身でもある「イチ、ニ、サン、シ(死)」などの男性ダンサーたち…。

冒頭の海を表す女性たちのコールドがまず素晴らしいです。最初は仏像を思わせるポーズで静止していて、そこから動き出し、様々な変容を見せる…。
そして「イチ、ニ、サン、シ」「聖セバスチャン」を踊り演じた男性ダンサーもよかったです。内心(首藤さんがいないし、「シ」の初演者だった小林 十市さんや再演者の飯田現芸術監督も出ないのは何だかな)と思ってましたが、やはり男性が充実してるバレエ団は宜しいものです。

「イチ、ニ、サン」は初演と同じなのですね。(高岸、後藤、木村)「シ」「聖セバスチャン」が初役…。
「イチ、ニ、サン、シ」が4人で踊ってると、どうも木村さん、ついで高岸さんに眼が行ってしまいますが(苦笑)4人とも見映えがするし、踊れる人なので、堪能させていただきました。(高岸さんって、俳優の阿部 寛氏にちょっと似てると思う)
「聖セバスチャン」の大嶋さん、嶋■ 久作氏に似てる気がするけど踊りの迫力はなかなか。
女性陣も「禁色」のヴァイオレット、井脇さんや「海上の月」小出さんがとっても綺麗でした。

約1時間40分(休憩なし)、大変に充実した舞台をありがとうございました。

会場で某■書館の来年のカレンダーを見かけました。表紙が「ラ・シルフィード」のジェームズに扮したマチュー・ガニオ。(あ!可愛い)と思いましたが、6枚綴り(2ヶ月カレンダー)で1800円は高いような…。(結局買わなかった)

追記:2005年のブログからです。ベジャール氏が東バに振り付けたオリジナルでは(個人的な好みですが)「ザ・カブキ」よりこちらが好き。
ザ・カブキは例の「イノシシ」…が何というか、まあ。討ち入りの場などは実に良いと思うのですが)

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