ベルリン国立バレエ団「ラ・バヤデール」(2005年6月21日)

昨日見に行ってきました。「ラ・バヤデール」は今まで5回鑑賞したことがあるのですが、その中でも満足感が高い公演となりました。

ラ・バヤデールという作品は、「チャイコフスキー以前」のバレエ作品なので、バレエ専門の作曲家(L・ミンクス)が作曲を手がけてますが…、音楽史に残る名曲、とはとても…。(むしろこの作曲家の「ドン・キホーテ」の方が、まだよく書けていると思います)インド(但し空想の古代)のお話なのに、曲には全くそういう感じもないし。

この作品の「影の王国」のシーンが素晴らしいのですが、精霊たちが延々と連なって登場してくる場面の曲は結構いいのに、第1ヴァリエーションと、コーダ部分の騒々しさがぶち壊しているような。(何だかパチンコ屋か、サーカス音楽を連想してしまう私)
しかも、昨日のオケは、金管楽器が時々妙な音を出していてくれたので余計そう思えて。

主演はウラジーミル・マラーホフとディアナ・ヴィシニョーワ。(そういえば、ヴィシニョーワを全幕のグランド・バレエで見るのは初めてだった)
ヴィシニョーワ(キーロフ・バレエの美人プリマ)、相変わらず綺麗で踊りも魅せてくれます。悲運の舞姫、ニキヤにぴったりで。
マラーホフ、幾分跳躍が重くなったかな、とも思いましたが、流石に上手い。
ガムザッティ(恋敵の美女)を踊ったベアトリス・クナップ、未知の踊り手だったのですが、舞台では、高貴な身分の姫を気品高く美しく演じ踊って、なかなか良かったです。

マラーホフ自身が手がけたという改定演出にも、配慮があって興味深かったです。(ニキヤのスカーフを取ると、恋敵の手が血で染まるところが凄かった)
そして最後の寺院崩壊。やはり「影の王国」で終わってしまう演出より、こちらの方が見所が増えて好きです。ストロボやフラッシュの照明が、神罰の凄まじさをより強調して…。

「ラ・バヤデール」は、全幕で計6回、一部抜粋では数え切れないほど観てるけど、見所の多い素晴らしい作品です。…音楽的に単調なところがあるのを除けば。
21日所見の回では、オケが…(苦笑)これは私だけが感じたわけでもなく、他のバレエサイトでも結構突っ込まれてました。

オケが素晴らしいのは、やはり座付きオケも一緒に来日する「レニングラード国立バレエ団」(今ではサンクトペテルブルグだが、招聘元がこの名前を使っている)です。管楽器の輝きや弦の響きの伸びやかさ、そしてアンサンブルのふくらみと音色の豊かさは、もうそれだけ見に行く価値がありそうです。それに指揮のアニハーノフ氏、一度見たら忘れられない容貌(というより髪型)で、練達の指揮を披露してますし。
別格としては、「シカゴ・フィル」を「ダニエル・バレンボイム」氏が指揮した公演。(春の祭典、火の鳥、ボレロ)お値段も別格…ですが、一生の思い出になりました。恐らく今後、あの顔ぶれでバレエのオケ、ということは、多分ないでしょうから(少なくとも日本では)

追記:2005年のブログからです。(2つの記事を1つに再構成)。アニハーノフ氏について少し触れてますが、その後も牧阿佐美バレヱ団の招聘で全幕バレエを指揮するなど、日本でも活躍なさっています。

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