プロローグつき全3幕
原 作 ミゲル・デ・セルバンテス
作 曲 ルードウィヒ・M・ミンクス
編 曲 ジョン・ランチベリー
振 付 ルドルフ・ヌレエフ
振付指導 アレット・フランション
装 置 ラファエーレ・デル・サヴィオ
衣 装 アンナ・アンニ
キャスト
ドン・キホーテ フランチスコ・セデーニョ
サンチョ・パンサ(従者) ステファーノ・ベネディーニ
ロレンツォ(宿屋の主人) マシュー・エンディコット
キトリ(宿屋の娘)/ドルシネア タマラ・ロホ(英国ロイヤルバレエ団プリンシパル)
バジル(床屋) ホセ・カレーニョ(アメリカン・バレエシアタープリンシパル)
ガマーシュ(裕福な貴族) ヴィットリオ・ダマート
二人のキトリの友人 マリア・フランチェスカ・ガリターノ、ラーラ・モンタナーロ
街の踊り子 ベアトリーチェ・カルボーネ
エスパーダ(闘牛士) アレッサンドロ・グリッロ
闘牛士たち クリスチャン・ファジェッティ、ジュセッペ・コンテ、マッシモ・ガロン、ルイジ・サルッジャ、フランチェスコ・ヴェントゥリーリア、アンドレア・ボイ
ドリアード(森の精)の女王 マルタ・ロマーニャ
キューピッド ソフィー・サロート
三人のドリアード アントネッラ・アルバーノ、モニカ・ヴァリエッティ、ステファニア・バローネ
四人のドリアード ラファエラ・ベナーリア、アントネッラ・ルオンゴ、ルアーナ・サウッロ、コリンナ・ザンボン
ジプシーの王と女王 ダニーロ・タピレッティ、カロライン・ウェストコーム
ジプシー アントニーノ・ステラ
二人のジプシー娘 ラファエラ・ベナーリア、ルアーナ・サウッロ
花嫁の付き添い セレーナ・サルナターロ
執事とその妻 マウリツィオ・タメリーニ、アデリーヌ・スレティー
ファンダンゴのソリスト ベアトリーチェ・カルボーネ、ミック・ゼーニ
指揮 デヴィッド・ガーフォース
演奏 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
「ドン・キ」は見所が多くて非常に楽しいバレエですが、いくつかのバレエ団公演を観比べて私が思ったのは、「1幕・2幕が長すぎ、3幕が短すぎる」ということです。
その点、今回のヌレエフ版では「酒場」のシーンを3幕に持ってきたことでその難点は解消されてました。
主役(ゲスト)の二人はいずれも絶好調で素晴らしかったです。
ヌレエフ版は特にバジルの踊りが増えてるのに、易々とこなしたホセに改めて拍手を。1幕では登場早々にかなり長いヴァリエーション、そしてキトリの友達二人と踊る前にももう一つヴァリエーション…、素敵だったです。
そのホセよりさらに素晴らしかったのは、キトリを踊ったタマラ。
3幕のグラン・パではアダージョでアティテュードの強靭なバランス(長時間キープ)で驚嘆させ、コーダのフェッテではトリプル…どころかクワドラブル(4回転)を入れてたのではないかと目を疑うばかりの竜巻のような回転(トータルで50回くらい回ってても不思議ではないような)
スカラ座のダンサーでは、マルタ・ロマーニャ(たおやかで綺麗なバレリーナ、体のラインも手足も美しい)とジプシーの踊りのリーダー(鞭を操りながらのダイナミックな踊り)がよかったです。
今回の上演は「ヌレエフ版」ということで、ミンクス作曲の原曲をジョン・ランチベリーが華やかに編曲しています。
原曲よりやや長くなってますが、ガーフォース氏の練達の指揮とあいまって演奏のシティ・フィルは大健闘でした。(3幕のキトリのヴァリエーションでは、大抵の演奏ではテンポを流すように速めてしまうのに、ガーフォース氏は踊り手のステップのリズムにしっかり合わせて振ってたので感心)
舞台装置と衣装も実に綺麗でした。
特に2幕後半の「夢の場」が。
(ドルシネア姫はペールブルー、森の女王とドリアードたちは淡いグリーンの衣装、キューピッドはよくありがちな白のチュニック風ワンピースではなく、ベビーピンクのクラシックチュチュ)
3幕のグラン・パでのタマラの衣装は、白の長袖総レースに金刺繍で、以前ロイヤルの公演でシルヴィ・ギエムが着てたのと同じデザインに見えましたが。(ロイヤルから持ってきた自前の衣装かな?)
大いに楽しんだ公演でしたが、細かいところでは不満も。
ドン・キホーテの甲冑が始終カチャカチャと音をたててたのは…。
(真ん中よりやや後ろの席で観ていた私でも気になったので、前のほうの人はさらに気になったでしょう、あれでは)
それから、プログラムにはもう少しダンサー紹介を入れてくれるとさらにありがたかったです。
帰り際に、赤いフェルトの布袋に入った「Ferrarelle」なるスパークリングウォーターをお土産に頂きました。(会場出口で配ってた)
かなり嬉しかったです。(この袋、可愛いし)
追記:2007年のブログからです。10年足らずなのにホセもタマラもすでに引退…。テクニックも芝居心もこの楽しいバレエにふさわしいダンサーでした。
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