全3幕
原作 アレクサンドル・プーシキン
振付 ジョン・クランコ
音楽 ピョートル・I・チャイコフスキー
編曲 クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣装 ユルゲン・ローゼ
オネーギン イリ・イェリネク
レンスキー フリーデマン・フォーゲル
ラーリナ夫人 メリンダ・ウィサム
タチヤーナ(ラーリナ夫人の長女) アリシア・アマトリアン
オリガ(ラーリナ夫人の次女、レンスキーの婚約者) カーチャ・ヴュンシュ
乳母 ルドミラ・ボガード
グレーミン公爵(ラーリナ夫人の遠縁の貴族) ダミアーノ・ペテネッラ
親類、田舎の人々、サンクトペテルブルグの貴族達 シュツットガルト・バレエ団
指揮 ジェームズ・タグル
演奏 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
シュツットガルト・バレエ団は、前回の来日公演でも「オネーギン」を上演しました。その時は、パリ・オペラ座の誇る世界的ダンサー、マニュエル・ルグリ(オネーギン役、1、2幕で見せた洗練された冷酷さと3幕での空虚さの対比が見事だった)の客演もあって、素晴らしく見ごたえのある舞台でしたが、ゲストなしの今年の公演もそれに負けず劣らずよかったです。
今回タイトルロールを踊り演じたイリ・イェリネクは、洗練という面ではルグリに一歩譲るものの、ニヒルでシニカルな1、2幕と初老にさしかかった男の哀れさがよく出た3幕の演じ分け方が素晴らしかったです。(いくつかあるパ・ド・ドゥもよかった)
レンスキー役のフォーゲルは、熱情溢れる一本気な青年でまさに適役。決闘の前の苦悩に満ちた長いソロなど踊りも演技も立派でした。そして快活で華やかな次女オリガ役のヴュンシュともども容姿端麗なので、まさにお似合い。(実は前回公演ではレンスキー役のダンサーの顔が全然好みでなくてそれだけが残念だったので、今回はフォーゲルがレンスキーを踊る公演を選んだのです)
ただ、アリシア・アマトリアンの長女タチヤーナは(踊りは決して悪くないのに)やや印象が薄いかなと。(前回の公演では、マリア・アイシュヴァルトのタチヤーナで観たのでかなり分が悪いかも)
チャイコフスキーの様々な曲を集めて編曲した音楽も、ユルゲン・ローゼの洗練を究めた美術と衣装(晴れやかな舞踏会から一転して寒々しい決闘現場に変わるところが凄かった)も美しく、実にいい物を見せていただきました。
某女性向け恋愛ゲームのファンにはおなじみの「感傷的なワルツ」が2幕でのオネーギンの苛立ちの部分に巧く使われていました。「感傷的なワルツ」は、ケネス・マクミラン振付の「三人姉妹」(チェーホフ作品をもとにした1幕バレエ)でも使われてたし、やはり印象深くて使いやすい曲のようですね。
追記:2008年のブログからです。
「オネーギン」は日本の某バレエ団もレパートリーに入れてるけど、マニュエル・ルグリが客演でオネーギンを踊ったときと、イェリネクが好演したこのときの印象が強いため、観に行く気になれません。
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